2012年3月7日〜13日
梅ヶ丘BOX(東京都)
作・演出:丸尾聡
公演情報(CoRich舞台芸術!)
わたしの生まれ故郷は、「いま最もラーメンが熱い地」と言われているようだ。そのことを知ってから一度帰省したとき、何軒かの店に行ってみた。
驚いた。名産品を使った町おこしのラーメンではない。新しい味が様々な形で模索されていると言えばいいのか。
長い間、麺といえば蕎麦であった彼の地の「ラーメンブーム」は、単なる流行ではない熱気をはらんでいるように思えた。以前は醤油をお湯で薄めたようなラーメンしかなかったのにと思うのは、知らないうちに故郷が変わったことを、どこかで訝しむ傍観者の感慨。
けれど、”ニューウェーブ系”のスープを口にしながら、「人がそこで何かを営んでいる」感じを強く持ったものだ。
しばらくして、11時に新規開店し、その日の津波に飲まれたラーメン屋さんの話しを聞いた。彼の地ではない、あの地である。誤解を恐れずに言えば、どこか現実感がなかった震災が、自分の中でくっきりとした気がした。
幸い店主は高台に逃れて無事だったという。その後別の場所で店を開いたそうだ。
さて、では再び店を開くことがかなわなかったラーメン屋はどうなるのだろう。
故郷に戻れない人々、戻った人々。例えば25年後のあの地。どうしようもなく、あるいは面白おかしく犯罪を繰り返すギャング団が跋扈する話。生きるためにその地を目指した若いふたりが、現実とその向こうの間で小さな命を授かる話。
様々なイメージが巡るのは、この「物語」が現在も進行中だからだ。
1年振りの劇団の舞台となる。芝居は芝居だと受けとめるまでに、ずいぶんと時間がかかった。躊躇し嘆き、怖れ畏れて、芝居もまた営みであることを思った。
3月11日は、昨年も今年も公演中だ。
丸尾聡
梅ヶ丘BOX提携公演 アトリエの会
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM presents
立入禁止区域のラーメン屋
作・演出:丸尾聡
会場:梅ヶ丘BOX(東京都)
日程:2012年3月7日〜13日
出演:
小林達雄
甲津拓平(流山児★事務所)
リアルマッスル泉
小山貴司
横澤有紀
柳沼大地
小杉美香
中農康佑
門久由賀里
スタッフ:
舞台美術:加藤ちか
照明:田向澄男
音響:鶴岡泰三
舞台監督:上條拓也
演出助手:モスクワカヌ
宣伝美術:杉崎壮一
フライヤーイラスト:杉崎麻弥
カンパニースタッフ:平沼寧・小澤浩明
企画/制作:オフィスプロジェクトM
協力:流山児★事務所・チャリT企画・水天宮ピット